家づくり語録|「納まり」って何? - プロが気にする”なんか気持ちいい”の正体

家づくりを始めるまで、私は聞いたことがありませんでした。
「納まり(おさまり)」
現場監督さんや大工さんが、当たり前のように使う言葉です。
最初に聞いたときは、
「何が収まるんだ?」
くらいの認識でした。
ところが木工事の現場に行くうちに、この言葉を耳にするようになります。
そして今では、
「大工さんの仕事って、納まりを考える仕事なんだな。」
と思うようになりました。
「納まり」とは何だろう
辞書的に言えば、
といった感じでしょうか。
でも、それだけでは少し物足りません。
現場で話を聞いていると、
「こっちの方が納まりいいですね」
「それなら納まりますね」
という会話が自然にやりとりされています。
最初は、
「見た目をきれいに仕上げること」
くらいの意味だと思っていました。
でも現場で聞いていると、
それだけではありませんでした。
使いやすさ。
掃除のしやすさ。
施工のしやすさ。
将来のメンテナンス。
そうしたことを全部考えて、
“図面には描ききれない気持ちよさを収めること”。
私には、そんな言葉に聞こえました。
図面通りでも、「納まりがいい」とは限らない
ある意味面白いと思ったのは、
図面通り施工すれば終わり。
ではないことです。
図面には描き切れない部分がたくさんあります。
現場では、
「こっちの方が納まりいいね」
と、
施工できるかどうか。
ではなく、
より自然に、より使いやすく、より美しく。
そのための微調整が行われいる。
図面どおり作るだけなら、
「納まり」という言葉は、きっと必要ありません。
完成した家を見るだけでは、気付かないかもしれません。
でも、その積み重ねが住み心地を作っているのだと思います。
ITの世界にも似た考え方がある
私はITの仕事をしています。
ITでも、仕様どおり動けば基本的には完成です。
でも、
「なんか使いやすい」
と思ってもらえるかどうかは、また別の話。
実際には、
直感的に使えるか
操作しやすいか
将来機能追加しやすいか
など、図面には書ききれない工夫があります。
建築でいう「納まり」は、
そうした配慮を積み重ねる仕事に、とてもよく似ていると感じました。
「納まり」は経験が見える言葉
ある日、現場監督さんが、
「この方が納まりがいいと思うので」
と言って、収納扉の位置を少し変更してくれました。
図面が間違っていたわけではありません。
住んだ後の使い勝手まで考えた提案でした。
詳しくは別の記事で紹介しようかと思いますが、
その一言で、
私は「納まり」という言葉の意味が少し分かった気がしました。
図面を見ているだけでは気付けないこと。
実際に施工しているからこそ見えること。
そんな経験や想像力が、この言葉には詰まっているのだと思います。
「納まり」は、気持ちよさを作る仕事
家づくりでは、
性能や設備のスペックが注目されがちです。
もちろん、それも大切です。
でも現場では、
「納まり」
という言葉が何度も飛び交っていました。
私は最初、その意味が分かりませんでした。
でも今なら少しだけ分かります。
「納まり」とは、
単に図面に寸法を合わせることではなく、
使いやすさ、見た目、施工性、将来のことまで考えて、違和感なく収めること。
完成した家を見ても、その工夫には気付かないかもしれません。
「納まり」は図面には書ききれません。
寸法や位置は図面に描けても、
その方が使いやすいか。
掃除しやすいか。
将来困らないか。
そこまでは図面だけでは決めきれない。
だからこそ現場では、
「こっちの方が納まりいいですね。」
という会話が生まれる。
その一言の中には、
経験も、想像力も、住む人への思いやりも詰まっている。
私は現場を見ていて思うようになりました。
「納まり」とは、
大工さんや現場監督さんの経験や技術だけではありません。
家を建てる人、
そして、この先何十年も住む人への思いやりが、
形になって現れるものなのだと。
完成した家を見ただけでは気付かない。
でも、その積み重ねが、
「なんかこの家、気持ちいい。」
そんな住み心地を作っているのかもしれません。

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