家づくり戦記|気密測定に立ち会ってみた - C値0.1より印象に残った「職人を見る職人」の話

建て替え・家づくり戦記 #34 気密測定と職人を見る職人
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家づくりをしていると、一度は耳にする「C値」。

気密性能を表す数値で、小さいほど隙間が少ないらしい。
その程度の知識しかありませんでした。

現場監督から
「気密測定の日、もし都合が合えば立ち会ってみますか?」
と声を掛けてもらった。

気密測定なんて一生に何度も見られるものではない。
断熱施工も終わったところで、いい機会なので見学させてもらうことに。

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測定って、もっと厳かなものかと思っていた

事前には
「測定中は家の中に入れない可能性があります」
と言われていました。

ところが当日現地に行ってみると、
「中で見ていただいて大丈夫ですよ」
とのこと。

測定屋さんからは、
「気圧が変わるので、具合が悪くなる方もいます」
と説明を受けました。

気圧の変化というワードから、思わず、
「3000m級の山には慣れてるので大丈夫です!高山病になったこともないし!」
と返したところ、
現場監督さんも測定屋さんご夫婦も、
「なるほど……?」
という表情で笑っていました。

……もちろん高山病と気密測定は別の話ですけど(笑)

そんな和やかな雰囲気で測定は始まりました。

機械より先に驚いたこと

測定器は、いかにも精密機器が入っていそうなジュラルミンケース。

思わず
「札束でも入ってそうなケースですね(笑)」
などと、
そんな雑談をしている間に、準備はあっという間に終わってしまった。

私は勝手に、
家中の換気口やコンセントなどをテープで塞いでいくのかと思っていた。
なのに、そんな様子はまるでない。

住宅の小窓に設置された気密測定器。窓枠がシートと養生テープで目張りされている様子。
小窓に取り付けられた気密測定の送風機

実際に塞いだのは、

  • 測定機を取り付けた小窓
  • まだタイル施工前だった玄関ドア下の隙間

それだけ。

「え?これだけ?」という感じでした。
もっと家中を養生テープだらけにするものだと思っていたんです。

我が家は屋根から基礎まで断熱されているため、測定時に塞ぐべき開口部が少ないそうです。
測定屋さん曰く、
「このハウスメーカーさんの現場は準備が楽なんですよ。」
と言っていました。

「いい数字出してね!」と言われるらしい

測定屋さんは笑いながら、
「たまに大工さんとかに『いい数字出してね!』って言われるんですよ」
と言う。

もちろん、
「いや、機械で数字はいじれないんですけどね(笑)」
とのこと。

そりゃそうだ。
測定屋さんは数字を作る人ではなく、測る人なのだから。

逆に、気密性能が出ない現場では、
漏気箇所を探し、
テープで塞ぎ、
もう一度測り、
また探し……

ということもあるそうだ。

「ひどい現場だと、掃き出し窓の周りにテープ貼り出して(笑)」
なんて話も聞かせてもらった。

それはもう、家本来の性能を測っているのか、養生テープの性能を測っているのか分からない(笑)
そんな現場だったら、談笑する余裕なんてなかったでしょう。

準備があっという間に終わった我が家は、談笑する時間の方が長かった。

元・断熱施工職人が見ていた場所

今回の測定屋さんご夫婦は、
以前、吹付け断熱の施工もしていたそうだ。

天井を見上げながら、
「これ、腕のいい人が吹いたねぇ」
と言う。

「え?そんなこと分かるんですか?」
と聞くと、

「天井を見ると分かるんですよ」
と。

天井一面に隙間なく吹き付けられた、モコモコとした質感の白い断熱材。
天井一面に吹付けられた断熱材

吹付け断熱は、天井部分をカットせず、そのままモコモコした状態になっている。

上手な職人さんだと、そのモコモコがなだらかになる。
逆に、あまり慣れていない人だと波打つらしい。

波打つと、
「どこで厚みを測ればいいんだ?」
となるし、
必要以上に材料も使ってしまう。

さらに、
柱際や隅の細かい部分を指差して、
「こういうところまでちゃんと吹けてるね」
と。

柱の隅まで隙間なく吹き付けられ、表面がキレイにカットされた壁の断熱材。
石膏ボード施工を前に、表面がカットされた壁の断熱材

私はただの白い断熱材にしか見えなかったが、
経験者には施工品質が見えているらしい。

やたらと褒めるので、

思わず
「何かハウスメーカーさんからもらってたりします?」
と聞いたら、

横で聞いていた現場監督さんも思わず笑う。
現場監督さんも含めてみんなで笑ってしまった。

C値0.1と言われても…

ここで簡単にC値についておさらいしておきます。

C値とは

住宅に「どれくらい隙間があるか」を示す指標で、数値が小さければ小さいほど 隙間が少なく、気密性が高い家 であることを意味します。

C値=家の隙間面積 ÷ 実質延床面積

測定は4回行われました。

C値0.1㎠/㎡という測定結果が印字された、複数枚の気密測定結果レシート。
測定したC値が印字された気密測定結果(4回測定)

そして測定結果は、
C値0.1㎠/㎡
……と言われても、

正直、
「大手でも1.0以下くらいなら優秀って聞いた気がするけど……」
「0.1って、そんな数字出るの?」

というのが最初の感想だった。
比較対象がないので、数字だけ見ても実感は湧かない。

でも、
いろいろな住宅会社の現場を見てきた測定屋さん、
このハウスメーカーの現場も数多く担当しているそうで、
C値0.1という結果にも特に驚く様子はありませんでした。

むしろ、
「このハウスメーカーさんは楽なんですよ。」
「施工がきれいですね。」

と、終始そんな話をしていました。

数字より、現場でしか聞けない話が面白かった

今回の気密測定で一番の収穫はプロとの談話かもしれない。

普段は見ることのできない測定の様子や、
元施工者だから分かる断熱施工の見方、
そして、現場でしか聞けない裏話。

もし立ち会える機会があるなら、
ぜひ一度見てみることをおすすめしたい。

数字だけでは分からない「家づくりの裏側」が見えてきます。

今回の気密測定で印象に残ったのは、
C値0.1という数字ではありません。

現場で出会った測定屋さんが、
施工を見ただけで職人さんの腕を見抜き、
「ここ、きれいに吹けてるね」
と何気なく話していたことでした。

測定屋さんはこんな話もしてくれました。
真冬の完成住宅で気密測定をするときは、防寒着を着て現場へ向かうそうです。
ところが、このハウスメーカーの家では暖房を入れておいてくれることが多く、
「測定中は暑くて防寒着を脱ぐんですよ。」
とのこと。

玄関から浴室まで温度差が少ない家は、
実際に測定する人ほど、その違いを体感しているのかもしれません。

家は工法やカタログスペックだけで出来ているわけではない。
一人ひとりの職人さんが積み重ねた仕事の結果として出来上がる。

家づくりというと、
つい工法や断熱材、設備の性能ばかりに目が行きがちです。

でも今回現場で見えたのは、
C値0.1という数字よりも、その数字を作った人たちの仕事の方が印象に残りました。
「性能を作っているのは、材料だけではなく人なんだ」

という、ごく当たり前だけれど大切なことでした。


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